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路上のネコの話②

「ネコは赤信号で停車中の白いセダンの下に入りこんだ。地面に手をつき、覗きこむと、車体の下でうずくまっている。手を伸ばしても届かない。お巡りさんはドライバーに『すみません、ネコが入りこんでいて……』とそつなく説明してくれている。ドライバーのおじさんは特にいぶかるようでもなく、了承しているようだ。お巡りさんが話すと話が早い。ふと見ると、信号はもう赤ではなく、走りださなければならない。あわてて車体の下を覗き見ると、ネコはもうそこにはおらずお巡りさんが『あっちに行ったよ』と銀行の駐車場を指さしながらそちらへ移動する。ネコは我々には目もくれず、やはり先ほどと同じようにふんふんと歩き去ろうとしている。ああ、よかった、少なくとも車道からは離れてくれた……

お巡りさんは

『どうも目が悪いみたいだな……』と目を細めながら言う。

『すみません、あのネコの素性をわたしは分かりませんが、あとは任せてもよろしいですか。わたしが見た時、交差点の真ん中にいたものですから』と説明すると

『わかりました。あとは見ておきますよ』と力強いおことば。彼はそこでようやく解放されたらしい……」

 「それから弟はなかなかおもしろいことを言うんだよ」と彼は続けます・・・

やはり忠告に従い、続きはまた次回。

 
 
 

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