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路上のネコの話①

 わたしの友人から聞いた話です。

「少し前のことになるが(コロナ前の話です)、自分の弟が晴れた日の午後、車を走らせていた。二車線の丁字路の交差点に差しかかったとき、前を走る車が流れを阻害するくらいに急速に速度を落とした。しかし停まりはしなかったので、彼は舌打ちをしてそのまま車間距離をつめながら進んだ。すると交差点の真ん中の小さなゼブラゾーンに、一匹の白いネコがいる。うす汚れていて、グレーと言ってもいいくらいの、白いネコだ。すれ違う多くの車から1メートルくらいしか離れていない。しかも車は左右を通るから、見ていて今にも車と接触しそうである。なるほどそれで減速をしたのだな、と合点がいく。やはり自分も減速をしながらネコのそばを通り過ぎる。しかし通り過ぎた直後、あれ、このまま放っておいたらあのネコはやがて車にひかれてしまうのではないか、と考える。

弟は手近な駐車場に車を停め、ネコのところに走った。

 しかし先ほどの場所にネコはおらず、ネコの死骸も見当たらない。ほっとする。ところがふと見ると、向かいの路上の端に、車と進行方向を逆にして、ふんふんと歩いているそのネコの姿が目に入ってしまう。ああ、そこにいたのかい、しかもまだ危機は去っていない。あわてて信号を渡りそのネコのそばに駆け寄ると、ああ、なんたる幸運、通るタイミングで道沿いの銀行からお巡りさんが出てきた。

『すみません、そこにいるネコがどうも車道に出てしまうようなんです』歩きながら暗に助けを求めながら状況を説明する。幸い特に銀行強盗を追っていたようではなく、すぐに一緒にネコを追ってくれたらしい 」友人は続けます・・・


・・・「長いと読む気が起こらない」という家内のありがたい忠告にしたがって、続きはまた次回。

 
 
 

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